導入事例

学校

ソーラーこはるび太陽熱集熱パネルが平成17年8月30日 文教施設協会の優良学校施設部品推奨品として登録されました!

一般社団法人文教施設協会は、1971年に認可・設置された文部科学省、国土交通省共管のわが国唯一の文教施設関係の公益法人です。その推奨品として登録されるためには、専門家を主体として構成された審査、調整委員会により作成された性能、品質の基準に適合していることが求められています。ソーラーこはるびは文教施設協会の専門の審査委員会による厳しい審査を受け、推奨品として認められました。優良学校施設部品推奨品としては6番目のものです。

※学校関連施設に「ソーラーこはるび」を設置する場合は、設置費用の1/3が補助金申請することによって支給されます。

季刊誌「文教施設」秋(10/25)号掲載記事

優良学校施設部品推奨品太陽熱集熱外壁材(ソーラーこはるび)

(社)文教施設協会
学校用ソーラーこはるび研究会

はじめに

(社)文教施設協会による優良学校施設部品推奨事業において、このたび太陽熱集熱外壁材(以降ソーラーこはるびと称する)が推奨品として登録されました。 ソーラーこはるびは太陽熱を効率的に集熱し、その熱を教室や体育館などに導入し暖房エネルギーの一部として活用します。それにより、暖房時の燃料費の節約や、地球温暖化防止のため世界的規模で取り組まれているCO2削減にもつながります。また、暖められた外気を室内に導入することで、新鮮な空気による教室内の換気が行われます。特に、冬季、暖房時には換気が不十分になり、児童生徒の呼気による教室内CO2の濃度が高くなりがちになるのを防ぐことができますし、換気のため冷たい外気が直接室内に入るコールドショックの緩和に役立ちます。

原理と機能

ソーラーこはるびは、表面にフッ素樹脂系黒色塗装が施されたアルミの多孔板で、これを建物の外壁を覆うような形で設置します。建物とは40~100mm程度の間隔(空間)を確保します。外気はパネル表面で温められると共に小孔通過時に熱交換により加熱されさらにパネルと壁の間を移動する際にも熱を取得します。暖められた空気は建物の外壁面より送風装置により室内に送り込まれます。

学校施設への設置計画

普通教室および体育館への設置について一般的な場合を図1、図2に示します。 教室の場合は、南面には大きな窓がありますから設置上の広さについて制約がありますが、体育館では壁面の面積が大きいためソーラーこはるびもより広く設置できます。


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ソーラーこはるび設置による効果
1. 外気導入による換気

ソーラーこはるびを設置した場合どのくらいの換気量が期待できるか試算してみます。一般的な教室(8m×8m×3m(高さ))の南側窓下(腰下)外壁部にソーラーこはるびパネルを設置(7.2m×0.9m、広さ6.48m²とする)。通過風量は標準的な36m³/hm²の場合(パネルの通過風速は早いほど太陽熱の集熱効率は高くなりますが通過する空気の温度上昇幅が小さくなるため居住空間に利用する場合はこの程度の風量を選択します)、導入される(換気)空気量は233m³となり、換気回数は1.21回/時となります。この回数は文部科学省の「学校環境衛生の基準」に基づく幼稚園・小学校での必要換気回数の2.2回/時の約半分になります。なお、夏季等外気温が高い場合にはこの換気を行いませんので、通常の換気設備は別に必要になります。

2. 省エネルギー(暖房時の燃料費節約)効果とCO2削減への貢献

札幌及び東京において40人標準教室(8m×8m×3m(高さ))の南側窓下(腰下)外壁部にソーラーこはるびパネル(6.48m²)を設置した場合の暖房エネルギー節約量及びCO2削減量の概算値は以下のようになります。地域の気象条件や使用エネルギーの種類によって異なりますが、CO2を年間概ね100~350kg削減することが出来ます。

3. 室内温熱環境の向上

冬期に換気のために導入した冷たい外気が教室内下方に流入し、生徒の足下部分の空気温度が低下してしまうことがあります。ソーラーこはるびで新鮮空気を暖めて導入することにより室内下部の空気温度の低下を防止し、室内温熱環境の均一化をはかることができます。

下図(a)は空調を行っている教室内で窓下2箇所からファンで外気を導入した場合の室内空気温度分布のシミュレーション結果の一例です。冷たい外気が導入されるため、室内下部の温度が低下してしまいます。通常はこれよりも高い位置から外気を導入しますので、このような極端な結果にはなりませんが、外気が暖房空気とうまく混合出来ない場合には同様なことが起こり得ます。下図(b)は空調を行っている教室内でソーラー こはるびを通した外気を窓下スリット型吹出口から窓面上方に向けて吹き出した場合の室内空気温度分布のシミュレーション結果の一例です。室内下部の温度が上昇しており、室内全体が快適で一様な温度分布に保たれています。

体育館の暖房では、教室に比べ暖房室温を低く設定しますが、大空間であることから多大なエネルギーが必要になります。壁面にソーラーこはるび設置スペースが確保しやすい体育館は、効果がより期待できる施設といえます。

4. その他

夏期には高温の空気が室内に流入しないように吹出口のシャッタを閉じます。太陽熱によって温度が上昇したパネルと壁の間の空気は軽くなって上昇し、パネル上部の小孔から自然と外部へ排出されますので、パネルと壁の間の温度が高くなり過ぎて室内に熱が放出することはありませんし、火災につながる心配は全くありません。逆にソーラー こはるびパネルにより外部からの熱を遮断出来ることが分かっています。夏期にはソーラーこはるびパネルを設置した壁面では設置していない壁面に対して室内側へ壁を通過して入る熱量が約1割減少することが確かめられています。

メンテナンス

ソーラーこはるび本体は、表面にはフッ素樹脂系黒色塗装が施されており、比較的汚れにくくまた雨により汚れが洗い流されますので清掃等の必要はあまりありませんが、大気汚染の影響により汚れがひどくなった場合は水洗いします。また送風機部分については一般の換気扇と同程度に適宜点検、清掃が必要になります。

おわりに

室内環境の改善と地球温暖化対策の一方策である自然エネルギーの活用を可能とするソーラーこはるびは、これからの時代ニーズに応える部材です。多くの文教施設への採用が期待されます。

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